ダイエットの敵!カロリーと糖質と脂質は結局どれが一番太るの?
痩せたいのにお肉なんてありえない、甘いものだけじゃなくてご飯も禁物、1日のカロリーはちゃんと計算しなくちゃ…ダイエットと食事は切っても切り離せない関係に変わりないですね。でも全部ダメだと痩せるどころか体調を崩してしまうことも。
ちゃんと結果が出る効果的なダイエットがしたいのは、全ての女子の願い!ダイエットに良さそうなカロリー制限、糖質制限、油物を断つ…チャレンジしたいけど、どれが一番効くんだろう?そんな風に感じたことはありませんか?
間違った方法で体を壊す前に3つの敵の正体をとことん知って、健康的で効率のいいダイエット法を見つけちゃいましょう!
ダイエットの大原則!自分の消費カロリー以上は食べちゃダメ
自分の身体が1日に消費できるカロリーよりも摂取するカロリーが多ければ太るという事実は、ダイエットを志す女子であれば誰もが知っていることでしょう。今では体重計に乗るだけで自分の基礎代謝量が測れることが多いですから、ある程度のカロリー計算をして食事をコントロールしている人も多いのでは?
でも、自分が1日に消費できるカロリーは一体どれくらいなのかということをきちんと知っている人は意外と少ないのです。個人差はあるものの、厚生労働省が出している数値を目安にしながら消費カロリーの計算をしてみましょう。
日本人の基礎代謝量の平均値
特に運動することがなくても、じっとしているだけで、さらに言えば呼吸をするだけでも消費されるカロリーのことを基礎代謝と言います。厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、女性の年齢ごとの基礎代謝量の平均は次の通りです。
年齢 | 基礎代謝 基準値 (kcal/kg/日) |
基準体重 (kg) |
平均代謝量 (kcal/日) |
---|---|---|---|
10~11歳 | 34.8 | 36.3 | 1260 |
12~14歳 | 29.6 | 47.5 | 1410 |
15~17歳 | 25.3 | 51.9 | 1310 |
18~29歳 | 23.6 | 50.0 | 1110 |
30~49歳 | 21.7 | 53.1 | 1150 |
50~69歳 | 20.7 | 53.0 | 1100 |
70歳以上 | 20.7 | 49.5 | 1030 |
これは年齢ごとの代表的な平均体重を基に計算されたものです。年齢別の基礎代謝基準値に自分の現在の体重をかけてみると平均的な基礎代謝量を割り出すことができます。体重計で基礎代謝量がわかる人は、自分は平均よりも高いか低いかを判断することができますね。
身体活動レベルを上げる
ただじっとしているだけで消費できるカロリーである基礎代謝量に、身体活動レベルと呼ばれる数値をかけて計算されるのが1日の消費カロリーになります。仕事や運動量などはライフスタイルによって人それぞれ違いますが、こちらも目安となる数値が厚生労働省から出されています。
【身体活動レベル内容】
身体活動レベル | 内容 |
---|---|
レベルⅠ | 生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合 |
レベルⅡ | 座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤・買物・家事、軽いスポーツ等のいずれかを含む場合 |
レベルⅢ | 移動や立位の多い仕事への従事者。あるいは、スポーツなど余暇における活発な運動習慣をもっている場合 |
【年齢ごとのレベル分け】
年齢 | レベルⅠ | レベルⅡ | レベルⅢ |
---|---|---|---|
10~11歳 | 1.45 | 1.65 | 1.85 |
12~14歳 | 1.50 | 1.70 | 1.90 |
15~17歳 | 1.55 | 1.75 | 1.95 |
18~29歳 | 1.50 | 1.75 | 2.00 |
30~49歳 | 1.50 | 1.75 | 2.00 |
50~69歳 | 1.50 | 1.75 | 2.00 |
70歳以上 | 1.45 | 1.70 | 1.95 |
1日中座りっぱなしのデスクワークの人と、立ち仕事や営業、身体を動かす作業などをする人とは毎日の運動量が違います。仕事や趣味、運動習慣などによって消費するカロリーは大きく変わってきます。
たとえば20代で基準体重50kgだった場合、身体活動レベルⅠの消費カロリーは1,110kcal×1.50=1,665kcalになりますが、レベルⅢであれば1,110kcal×2.00=2,220kcalとなりますね。
摂取カロリーを減らせば痩せるか
★画像1
http://www.leesfitness.com/jp/wp-content/uploads/2015/01/burn_calories-300×140.jpg
私たちに必要なエネルギー源となる栄養素は、炭水化物(糖)・脂質・たんぱく質です。これを三大栄養素と言います。食べ物から摂取したこれらの栄養素をエネルギー(熱量またはカロリー)に変えることで、身体を動かすことができています。
1日の消費カロリーに必要な栄養分だけを毎日摂取していれば、基本的には太ることはありません。そして消費カロリーよりも少ない摂取量であれば、体内に蓄積された脂肪をエネルギーに変えるため体脂肪が減り痩せていきます。これはダイエットの大原則です。
しかし、年齢や生活習慣によって消費カロリーは日々変化していきます。また摂取カロリーを毎日計算するのは栄養士さんでもない限り長くは続かないでしょう。日本人の現代の食事内容を考えても、毎日食べるものを消費カロリー以内に抑える意識を持ち続けるのはとても困難です。
過剰な摂取カロリー過多が続けば太るのは当然ですから消費カロリー以上に食べ続けるのはもちろんアウトですが、単純に摂取カロリーを減らせばいいかというと、ダイエットにおいても健康を維持するためにもしっかりした管理が求められるため、シロウトでは継続が難しいでしょう。
そう考えるとカロリー制限は、効率のいいダイエットとは言いにくいのではないでしょうか。
意外な事実!人間は脂っこい食べ物だけでは太らない
油を食べると、速攻で体脂肪に変わりそう…こんな風に脂質=脂肪というイメージがありますよね。脂っこい食事や脂肪分の多い生クリームを使ったお菓子などはカロリーオーバーになってすぐ太るからダイエット中は厳禁!長い間ダイエットの常識として広く認識されてきました。
脂質は1gあたり9kcalを持っています。これはエネルギーを持つ他の栄養素である炭水化物(糖)やたんぱく質の2倍以上のカロリーです。確かに数字だけで見たら、脂質を摂りすぎればカロリー過多で消費しきれず、体脂肪となって蓄積されるので太ると言えるでしょう。
しかし意外なことに、脂質が体内で吸収され体脂肪に変わるしくみを考えると、必ずしも油で太るとは言えないことが判明しました。
油は体脂肪になりにくい
ある実験では、大学生たちに2週間にわたって100ccのオリーブオイルを毎日飲み続けてもらい、その後の体重と体脂肪率を計測しました。その結果、誰一人として顕著に増加した者がいなかったというのです。これは一体どういうことでしょうか?
実は最近の研究では、食べ物由来の脂質の80%以上が体脂肪にならず、排出されるか、60兆個以上あると言われている細胞膜や、ステロイドホルモン(女性ホルモンなど)の原料になることが分かっています。
オリーブオイル100ccはなんと約800kcalもあります。こんなに高カロリーなくせに体脂肪になりにくいなんて今までの常識を覆す驚きの研究結果です。実験のように油を毎日コップ半分飲もうったって到底ムリ。結局、私たちが通常の食事で摂ることのできる油の量だけで太るとは考えられないということなのです。
油で脂肪を落とす?
★画像2
http://tst.japan-topics.com/wp-content/uploads/2013/05/shibou2.jpg
メイク汚れを落とすオイルリキッドの原理は油で油を落とすことですが、実はコレ、私たちの体の中でも同じ原理が当てはまるんです。油の中には太るどころか、脂肪を落とす働きを期待できるものもあるのです。
脂質は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分かれます。この2つの性質は働きが全く異なっていて、主に動物性の脂質はエネルギー源になるため大量摂取には注意が必要ですが、特に魚に含まれる脂質には体内で「メイク落とし」の効果を発揮するのです。
不飽和脂肪酸は、まぐろ、いわし、さんま、さばなどの魚類やオリーブ油、ゴマ油、シソ油、グレープシード油などの植物油に多く含まれている脂質。常温で固まりにくく体内で液体であるというのが特徴であり、血中の中性脂肪やコレステロール値を調節する働きがあるといわれています。
引用元:魚の油は体内で固まらない不飽和脂肪酸 | 血をサラサラにする油 不飽和脂肪酸 | DHA+EPA | 山田養蜂場の気になる健康情報
体内に溜まった中性脂肪を落とす働きを持つ魚や植物の油は、控えるどころか積極的に摂取したい食べ物と言えるでしょう。
糖質が脂肪を作り出す?大事なエネルギー源に潜むワナ
実は私たちの身体を動かすエネルギー源の60%が炭水化物から補われています。三大栄養素のうちもっとも消化吸収が早く、食べてすぐにエネルギーとして使われる大事な栄養素です。
糖質は効率のいいエネルギー源
★画像3
http://mw.nikkei.com/content/pic/20141010/96958A9E93819499E2EA9AE39F8DE2EAE3E2E0E2E3E6E2E2E2E2E2E2-DSXBZO7820115009102014I00001-PN1-19.jpg
炭水化物は消化されエネルギー源となる糖質と、吸収されずに残る食物繊維で構成されています。糖質のうち最も吸収されやすいのが単糖と呼ばれるブドウ糖や果糖でハチミツや果物など甘い食べ物に多く含まれており、特にブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源となるため、生きていくのに欠かせないものと言えます。
食べ物で糖質を摂取するとすぐに消化吸収が始まり、血液を通して体全体に糖が運ばれます。また体内には生きていくのに必要なエネルギーを蓄えるしくみが備わっているため、筋肉の細胞や肝臓の中に糖が蓄えられ、もし糖の摂取が不足したとしてもすぐにエネルギーとして消費できるよう準備されるのです。
すぐにエネルギーになる糖質はなくてはならない栄養素に間違いありません。ところが食べ物から摂取できる糖質が十分であれば、蓄えられた糖は使われません。そして摂取される糖質が必要量を超えたとき、余った糖質はさらに体内に蓄えられることになるのです。
糖を脂肪に変えるインスリン
その余った糖質の貯蔵先が大問題!筋細胞や肝臓の貯蔵量をオーバーした糖質は、実は体脂肪として蓄えられるのです。この時に効果を発揮するのが言わずと知れた「インスリン」。糖の血中濃度を下げるために出されるホルモンですが、余った糖を脂肪として蓄えることで血液中の糖質を減らし濃度を下げているのです。
糖尿病の指標として用いられることが多いインスリンの分泌量ですが、ダイエットにも大きくかかわっています。インスリンの分泌量が多ければ多いほど、糖質を脂肪に変える働きも一層強まるため、摂取した糖質がどんどん体脂肪に変わり、太ることになるからです。
「糖新生」で脂肪を糖に戻し消費する
★画像4
http://i0.wp.com/takahan.info/wp-content/uploads/2014/11/tansui1.jpg?resize=600%2C450
では、摂取する糖質が不足した時にはどうなるのでしょうか?もちろん体内に貯蔵された糖が優先的に使われるのですが、それでも足りない場合、体内で糖を作り出しエネルギーに変えるしくみが備わっているのです。これを「糖新生」と言います。
この時、糖を作るために必要な原料となるものの一つが脂肪なんです。脂肪を分解し糖に変えることで、再びエネルギーとして使うことができるようになります。ということは…
2.肝臓が脂肪を分解して糖を作る
3.糖を作るのに必要な原料となる脂肪などを消費
4.蓄えてられていた脂肪が減る
5.痩せられる
流行の糖質制限ダイエットのからくりは、この糖新生のしくみを有効活用したものだったのです。摂取する糖質を減らすことでインスリンの分泌を抑制し、脂肪から糖を作り出す糖新生を利用して体脂肪を減らすダイエット法なのです。
効果検証済み!カロリーよりも糖質を抑える方が痩せる
これまで、カロリーのしくみや脂質と糖質の特徴や性質を解説してきました。油だけでは太らないことが分かった今、カロリー制限と糖質制限のどちらが効果があるの?という疑問がわいてきますね。
2008年にイスラエルのベングリオン大学で行われた実験結果は、その疑問に対する答えを与えてくれています。これはアメリカの医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」で発表され、日本で糖質制限が流行するきっかけとなった実験です。
★画像5
http://president.jp/mwimgs/d/2/250/img_d2ecb4c95b5a5fc66f25d5b0fffde4f125771.jpg
イスラエルの322人(男性86%)を対象にして、3つのグループにわけて、
(1)低脂肪法(カロリー制限あり)
(2)野菜、穀類を中心にしてオリーブ油を多用する地中海法(カロリー制限あり)
(3)低炭水化物法(カロリー制限なし)
の3つの食事法を2年間続けてもらった。体重などを分析した結果、2年後の体重減少幅の平均は
(1)低脂肪法 2.9キロ
(2)地中海法 4.4キロ
(3)低炭水化物法 4.7キロ
となり、(3)低炭水化物法が最も減少していた。
カロリー制限を同時に行った低脂肪法と地中海法に比べ、低炭水化物法はカロリー制限なしで一番大きな効果が得られています。また糖質制限は短期間で大きな体重の減少が見られるのも特徴です。ところがグラフを見てわかるとおり、短期間の急激な体重減少が起きた糖質制限は、比較的大きなリバウンドが発生しています。
この実験結果から読み取れる情報は、
- カロリー制限よりも糖質制限
- 短期間で痩せる
- 急激な制限はリバウンドする
この3点に集約されると言えるでしょう。
結論!正しい糖質制限がダイエットの近道
カロリーと脂質、糖質。ダイエットの敵であるこの3つのうち、もっとも太る原因となりやすいのは糖質(炭水化物)です。ランチもディナーも、パンや麺類、粉モンにおいしい白米…ほとんどの食事が炭水化物で構成されており、現代の食生活は糖質の摂りすぎであると言えるのではないでしょうか。
ただ、炭水化物が私たちの主食であり大事なエネルギー源であることに変わりはありません。極端な糖質制限は健康を損ね、ダイエットの継続を難しくさせ、挙句の果てにリバウンドさせるといった残念な結果にもなりかねません。
これを踏まえ、健康的で効果のある糖質制限ダイエットを成功させる秘訣は、
- ほどよい制限(目安は1日130gまで)
- 総摂取カロリーは消費カロリーを超えすぎない
- 目標は「継続させること」
この3点であると思います。
比較的短期間で目に見える結果が出やすい糖質制限ですが、ダイエットの一番の近道は正しくそして長く続けること。1日・1食単位で細かく計算するような神経質なものよりも、食べ過ぎたら翌日に調整といった程よいバランスの方が、最終的には一番健康的に効率よく痩せられるのではないでしょうか。
正しく続けられる糖質制限ダイエットなら、健康も減量も両方を手に入れることができるのです!