ニセの科学に惑わされるな!チョコレートダイエットはデマ!

先日ドイツで発表された、「チョコレートは少量ならばダイエットにむしろ効果的で、リバウンド防止にも役立つ!」という内容の論文はご存知でしょうか?

甘い謳い文句で人々を誘惑し、世界中のメディアを沸かせた「チョコレート・ダイエット」ですが、実はこの論文、とあるジャーナリストが仕掛けた、中身はとんでもないでまかせ論文だったんです!

そもそも、チョコレート・ダイエットってなに?

巷で噂されるチョコレート・ダイエット?聞いたことないんだけど、なにそれ?そう思った方も多いかもしれません。一言でチョコレート・ダイエットといっても、ダイエットに効く理由は様々あり得ますし、そもそも役立つの?と疑ってかかる方もいらっしゃるかもしれませんね。

とはいえ、甘いチョコレートを食べながら実はダイエットにも役に立つのなら、一秒でも早く知りたいものです。筆者もそのなかのうちの一人でした。

この記事でいうチョコレート・ダイエットとは、ドイツで発表された「チョコレートは少量ならばダイエットにむしろ効果的で、リバウンド防止にも役立つ!」という研究をもとに考案されたものを指します。

研究の内容ってどうなのよ

この研究では、被験者を「低炭水化物ダイエットを行うグループ」と「低炭水化物ダイエットと並行して、毎日42グラムのチョコレートを与えるグループ」と「好きなものを食べさせるグループ」の3つに分けて行われました。

数週間後に彼らの体重、BMI、ウエスト対ヒップ比を計測した結果、「低炭水化物ダイエットをしながらチョコレートを与えたグループ」が一番効果的にダイエットできたという結果が出たというのです。

つまり、この発表が真実ならば、少量であればチョコレートを食べないよりも食べた方がダイエット効果が高いことになります。チョコレートはダイエットに効果的な食品だと証明できるという発表だったのです!

論文発表で、多くのメディアが騙された!

センセーショナルなこの研究発表は、ヨーロッパでは発行部数ナンバー1の雑誌「ビルト」にトップ記事として取り上げられるなど、瞬く間にヨーロッパを中心とした世界20か国で報道されました。

日本ではそれほど報道されていなかったように思いますが、インターネットではそこそこ有名な話題となっていたようです。

ところがこの論文、実は非常に用意周到にそれらしく作られたデマだったんです!

実はデマ!?発表された論文の内容とは

発表のためにわざわざ架空の研究機関のウェブサイトまで作って投稿されたこの論文。
画像1
http://image.itmedia.co.jp/nl/articles/1505/30/ike_150530chocodiet01.jpg

実は科学ライターのジョン・ボハノンというジャーナリストによるいたずらだったんです。

その手の込みようはすばらしく、実験は少数ながら実際に行ったデータを使用する用意周到さです。ですが、このウェブサイトのオーナーである「Institute of Diet and Health(ダイエットと健康機構)」などという組織は実在しませんし、使用されたデータはきわめて偏った信用に欠けるものでした。

記者のボハノン氏はバクテリアの分子生物学の博士号を持っているようですが、ダイエットに関わる対人の専門ではありません。マスコミのいい加減さを伝える目的でこのようなイタズラをしかけたのだ、と自身のブログで暴露しています。

I Fooled Millions Into Thinking Chocolate Helps Weight Loss. Here’s How.

【翻訳】
私は何百万もの人々を騙してチョコレートがダイエットに効くと思わせることに成功しました。その方法がこちらです

引用元:I Fooled Millions Into Thinking Chocolate Helps Weight Loss. Here’s How.

どのくらいのメディアがだまされたの?

このデタラメ論文、ボハノン氏のブログによれば304の科学誌に送ったところ6割で採用されたといいます。これによって、発表する論文の検証作業を十分にせずに載せてしまう学術専門誌が複数あることが暴かれました。

さらには、世界20か国で報道されたわけですから、多くのマス・メディアが十分な裏付けもとらずに掲載していることを浮き彫りになったわけです。人気雑誌の雑誌「ビルト」ですら、記事の削除と謝罪をしたわけですから、とんでもないことです。

論文のなにがいけなかったの?

実際の実験データを使用しているのに、なにがいけなかったの?なかにはそう思う方もいらっしゃるかもしれません。この項ではボハノン氏のチョコレート・ダイエットに関する論文に根拠がなかった理由について具体的に解説したいと思います。

統計の人数が極端に少数だった!

まず第一の理由として、発表当時は何人のデータなのか明示してなかったことが挙げられます。一部の慎重な記事には、「実験は調査対象となった被験者が何人で期間はどれくらいなおか明記されていないので、今後の報告を待ちたい。」といった指摘もあることが確認できます。

実験参加者についての論文の記述では、

On average, participants were 29.6 years old and weighed 81.5 kg. Their average BMI was 26.16; (…) two-thirds of the participants were female, and one-third male.

【翻訳】
参加者の平均年齢は29.6歳、そして平均体重は81.5kgであった。彼らの平均BMIは26.16;(中略)2分の3が女性、そして1分の3が男性である。

引用元:Chocolate causes weight loss

と書かれているのみであり、具体的に何人参加したのかという記述は存在しません。

使われたデータは本物だったわけですが、実際の被験者は15人に過ぎなかったことをのちにボハノン氏はブログで明かしています。イタズラがバレるのを隠すために論文では数値をごまかすのは、当然といえば当然かもしれませんね。

とはいえ先ほど挙げた指摘でも見られるように、きちんと注意深く論文を読んでいれば専門家であればなおさらアヤシイところははっきりとわかるはずです。

期間も短く恣意的にデータを抽出していた!

被験者が15人に過ぎないということは、もっと多くの人でやってみて、効果が確かにあるのか検証しないといけません。15人でうまくいっても、100人、1000人と実験をして同じ結果にならなければ、「科学」とはいえないからです。

有意性がない結果を意図的に「たまたまうまくいったデータ」のみ抜き出したきわめて偏ったデータによって、論文は構成されているわけですから、こんなものは研究とはいえません。

科学者は一つの仮説を立て、その結果が証明されるまで何度も何度も繰り返し実験を行います。自分の仮説が正しいと思われるような結果であっても、100回に1度しか出なかったとしたら信憑性があるとは言い難いのです。

データを読み取る際はただ提示されたデータと分析をうのみにせず、どの程度再現性があるのか、根拠にこじつけはないかきちんと検証する姿勢が不可欠です。

なぜそうなるのか、根拠が開示されていなかった!

このように、ボハノン氏のチョコレート・ダイエットの論文は、ほころびだらけのものでした。しかし、だからといってチョコレートが体に悪いとか、ダイエットに有効でない、わけではありません。

単にチョコレートのように甘い話はなかったというだけで、チョコレートには

  • ポリフェノールによる血流の循環緩和による冷え症の改善
  • (上記の理由で)代謝がよくなる
  • 食欲を抑えてくれる
  • ストレス緩和効果
  • 食物繊維による便秘解消

など、ある程度の科学的に認められたメリットもあります。

ボハノン氏の論文には、「なぜ低炭水化物ダイエットを行うグループのなかでチョコレートを食べた場合に効果が高かったのか」ということが明示されていません。 単なる実験データの結果の発表であるにも関わらず、肝心のその実験データがごくごく少数の再現性のないデータだったために問題になったわけです。

したがって、今回の論文の問題点とは、

  • 十分な量のデータを取らなかったこと
  • 特に根拠もなく効果があるという結論に至っている

だといえるでしょう。チョコレート・ダイエットということそのものに問題があったとはいえないかもしれません。

なお、論文が掲載されたInternational Archives of Medicineのウェブサイトでは論文を読むことはできませんが、こちら(http://ja.scribd.com/doc/266969860/Chocolate-causes-weight-loss)であれば読むことができます。興味のある方は一度読んでみると面白いかもしれません。

理系じゃなくても!騙されないために気をつけたいポイント

今回のようにデタラメな科学論文に振り回されたり、誤った情報には騙されたくはないけれど「自分は文系だから統計とか数字は苦手で…」とお悩みの方でも、ある程度の自衛は可能です。

きちんと統計学を学ばずとも、統計データの読み方には一定のコツがあるからです。世の中にはもっともらしいデータに見えて、心理トリックを使った統計データが多くありますので、必要以上に騙されないためにもこれを機にぜひマスターしてみてくださいね。

統計データの読み方のコツ、3か条!

統計データの読み方のうち、一番簡単かつ騙されやすいのが、

  • 何人実験に参加したのか
  • どのくらいの期間実験が行われたのか
  • どのくらいの回数おこわなわれたのか

についてのデータです。

これらのデータがきちんと明示されていなかったり、あるいは「参加者の何%」といったあやふやなデータでは論外です。こちらを騙そうとしている気満々ですので、そんなデータはこちらからさよならしてしまいましょう!

また、データが明示されていても、有効なデータのみが統計が恣意的に抽出され、結果が改竄されている場合もあります。極端に実数の少ないデータや「たまたま」である可能性が高いからです。100回やって1回しか確認されていない再現性のないデータは、信用するには少々裏付けが足りませんよね?

これに加え、その結果が「なぜ」そうなったのか、きちんと論じられているものの方が、より信憑性があるといえるでしょう。

とはいえ、その結論がただのこじつけである場合も往々にしてあります。もっとも重要なのは、他人のいうことをうのみにせず、そのデータや論が本当に正しいかどうか疑う目を自ら養うことでしょう。

科学データの分析は日常生活に役立つかは微妙なところですが、騙されないためにも必要な能力でもあります。通販などで歌われている科学検証などに騙されて痛い目を見ないよう、しっかりと批判する目も持つようにしたいですね!

もうデマには惑わされない!記事を読むときのコツはこれ!

さて、この記事ではチョコレート・ダイエットを中心に、科学検証のデマに踊らされないための心得を解説してきましたが、いかがだったでしょうか?

ボハノン氏のチョコレート・ダイエットの研究によって、発表された研究を多くのメディアが検証不足のために騙されたことが暴露されました。このようにいたずらに騙されないためには、統計データをきちんと読み解くことが重要です。

統計データはちょっと自分には難しそう?もうなにも信じられそうにない?ご安心ください。そう不安になる必要はありません。データの数値や回数など、再現性があるかどうかに着目するだけでも、十分に誤った情報に惑わされないよう予防することができます。

また、科学も一進一退、昔わからなかったことが今明らかになっていたり、昔正しいといわれていたことが間違っていたり、状況は日々変わっています。もしかしたら、今回のデマも実はきちんと実験しなおしたらやはり正しかったなんてこともあるやも…?

何事も疑い過ぎず、かといって鵜呑みにせず、バランスよく過ごせるように心がけたいですね。

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