低炭水化物ダイエット効果と注意点!暗記力低下するってホント?

「低炭水化物ダイエット」を試してみたいという人のために、まずは「炭水化物」のことを知ってもらい、それとほぼ同義の「糖質」が多く含まれる食べ物を把握してもらいます。

その上で、「低炭水化物ダイエット」の二つの手法と、類似した二つのダイエット法のことや、同じような減量効果を示す「地中海食」についても説明していきます。

更に、「低炭水化物ダイエット」の効果や悪影響を体験した事例についても紹介し、このダイエット法を試す時に対策すべきことをまとめてみました。

最重要な栄養素「炭水化物」は「糖質」と「食物繊維」に分類される

肥満や糖尿病の原因ともなると言われている「炭水化物」とは、「糖質」と「食物繊維」の総称で、「タンパク質」や「脂肪」と並んで「三大栄養素」と呼ばれる、最も多く天然に存在する有機化合物です。「食物繊維」は消化酵素で分解されにくいため、栄養素としては「糖質」のことを意味しています。

炭水化物1gには、4キロカロリーのエネルギーがあるといいます。この栄養素は、生化学的には骨格形成・貯蔵・代謝などに使われ、生き物にとっては無くてはならない最も重要な存在なのです。

私たちが炭水化物である「デンプン」を摂取すると、それはまず口の中の唾液で加水分解されます。その後、胃の中の胃液や十二指腸の中で膵液(すい臓の消化液)で分解されていきます。

そして、小腸の中で二糖類水解酵素によって「グルコース」などの「単糖類」にまで分解されて、体内へと吸収できるようになるのです。この時、エネルギー源として重要なグルコースの体内濃度は、体内環境を一定にしようとする働き(ホメオスタシス)で調整が行われます。

この体内濃度が上昇すると、主に血糖を抑制する作用を持つ「インスリン」がすい臓の「B細胞」から分泌され、肝臓・細胞が取り込む動きを活発にしたり、「グリコーゲン」や脂肪へと変換するように促します。

反対に単糖類の体内濃度が低下すると、すい臓の「α細胞」から「グルコガン」、「副腎皮質」の「クロマフィン細胞」から「カテコールアミン」が分泌され、細胞中のグリコーゲンが分解されて血糖値が上がってしまうのです。

血糖値が上がってしまうと、インスリンの機能が働きにくくなり、より一層分泌されることとなり、脂肪細胞の合成と貯蔵が促進されてしまいます。つまり、炭水化物の摂り過ぎが単糖類の体内濃度を上げ、インスリンの過剰分泌と血糖値の上昇に繋がり、脂肪の蓄積で肥満になる可能性が高まるのです。

まずは「炭水化物」≒「糖質」の多い食べ物を知ることが大事デス

肥満の原因になると考えられる「炭水化物」≒「糖質」ですが、一般的にごはんが最も知られているところです。しかし、実際に食べ物毎に炭水化物の含有量を調べてみると、ごはんよりも多くの炭水化物を含む食べ物があるのです。

「炭水化物」が多く含まれる食べ物を把握しておく事は、「低炭水化物ダイエット」を行なう上でもとても重要なポイントとなってきます。

食べ物に含まれる成分の含有量は、水分の量によって左右されます。

水分が40%未満と少ない食べ物では、炭水化物の含有率(100g中の含有量の割合で表わす)が多い食べ物は、1位上白糖(99.2%)・2位あめ(97.5%)・3位ガム(96.9%)で、らくがん・ベビーボーロ・黒砂糖・乾いたタピオカ・甘辛のせんべい(86.3%)と続きます。

これが水分40%以上の食べ物になると、1位くりの甘露煮(56.8%)・2位みりん(54.9%)・3位かるかん(54.7%)となり、以下さくら餅・大福餅・りんごジャム・乳酸菌飲料・草もち・くずざくら・あんずジャム・もち・うずら豆・あずき缶詰・いまがわ焼・いちごジャム・中国ぐり(47.7%)と続くのです。

以上の食べ物を見ると、ほとんどがお菓子的な甘い物が上位を占めていています。そこで、食べ物を食べることの基本でもある普段の食事で摂取する穀類・肉類・魚類・野菜類などについて、その上位と代表的なものを見ていきましょう。

まず、穀類での上位3つは、コーンフレーク(83.6%)・白玉粉(80.0%)・ビーフン(79.9%)です。代表的な穀類としては、薄力粉(75.9%)・乾いたスパゲティ(72.2%)・インスタントラーメン(63.5%)・食パン(46.7%)・精白米(37.1%)・茹でたうどん(21.6%)となっています。

肉類で最も炭水化物が多いのはビーフジャーキーで、含有率は6.4%という低い値でした。そして、魚類についても1位たらのでんぶ(41.5%)・2位いわしのみりん干(16.3%)が比較的多いものの、3位はうなぎのきもの3.5%と非常に少なくなっています。

野菜類の場合は、1位乾いたかんぴょう(67.9%)・2位乾いた切干大根(67.5%)・3位とうがらし(58.4%)と高めの数値です。しかし、4位のゆりねが28.7%と低く、代表的な野菜類のごぼう(13.7%)・ながねぎ(7.2%)・生キャベツ(5.2%)・なすやピーマン(5.1%)・トマト(4.7%)・生はくさい(3.2%)などとなっています。

「低炭水化物ダイエット」の本質はエネルギー源の置き換えにアル

それでは、「低炭水化物ダイエット」とは、一体どんなものなのでしょうか。

一口に「低炭水化物ダイエット」は何かというと、それは肥満や糖尿病を治療するための食事療法であり、本質的にはエネルギーの摂取源を炭水化物からタンパク質と脂質に置き換える食事法のことです。

この食事法は「低糖質食」や「糖質制限食」という炭水化物の少ない食事を摂取する手法で、「ローカーボ・ダイエット」とも呼ばれています。糖質を減らすという意味では「糖質制限ダイエット」とも似ていますが、エネルギー源の置き換えを行なうことところが少し違っています。

通常、炭水化物の摂取基準は、世界保健機関(WHO)の目標値が55~75%であるように、60%前後というのが一般的です。「低炭水化物ダイエット」では、この摂取割合を低くし、タンパク質や脂質に置き換えるのです。

動物は飢餓状態になると、「グルカゴン」という「インスリン」と一緒になって血糖値を安定させる「ペプチドホルモン」というものを分泌します。すると、これがシグナルとなって、ピルビン酸・乳酸・糖原性アミン酸・プロピオン酸・グリセロール(グリセリン)などの糖質以外の物質からブドウ糖を造り出すのです。

このような反応を「糖新生」というのですが、人の場合にも同様な反応は置きます。そして、「低炭水化物ダイエット」のような糖質によるエネルギーを、タンパク質や脂質で置き換えるという現象も容易に起こることなのです。

「低炭水化物ダイエット」の二つの主要なやり方とはコレダ!

「低炭水化物ダイエット」の先駆けとなる食事法は、1863年出版のウィリアム・バンティングという人の『大衆にあてた肥満についての手紙』という本です。その本の中では、肥満に悩む中年男性が数ヶ月間炭水化物を制限した効果を執筆したものでした。

肥満気味で食事量制限・水泳・ウォーキング・薬などでダイエットをしていたバンティングは、その全てで効果が出ないままあきらめかけていた頃、糖尿病専門の医師ウィリアム・ハーベイと出会います。ハーベイの助言は、脂肪に変わってしまう炭水化物と脂質を摂取しないというものだったのです。

この助言に従ったバンティングの体重は20キロも減少し、世界初の「糖質ダイエット」の成功例となったのですが、当時の医学界では科学的な説明がつかないと批判の的になったのです。ちなみに、この本の売れ行きは、まずまずのものだったようです。

「低炭水化物ダイエット」の手法の主なものとして、1970年代に提唱された食事法の「アスキンスダイエット」と、アメリカの生化学者が提唱した「ゾーンダイエット」というものがあります。

「アトキンスダイエット」とは、アメリカの医師で循環器学者のロバート・アトキンスという人が考案したダイエット法です。この手法では、炭水化物の摂取量を通常の200~300gから20~40gまで減らして、脂肪が糖分の代わりにエネルギー源となり易くさせるのです。

「ゾーンダイエット」とは、アメリカの生化学者のバリー・シアーズという人が提唱した手法です。この手法では飽和脂肪酸の少ないタンパク質をエネルギー源として置き換えることを推奨し、炭水化物40%・タンパク質30%・脂質30%という摂取割合を勧めています。

「低炭水化物ダイエット」に類似した二つのダイエット法もアル

「低炭水化物ダイエット」とは言わないものの、その内容が同じ方向性となっているダイエット法もあります。その手法では、糖質の多い食べ物を極力減らしているため、結果的に「低炭水化物ダイエット」のような効果をもたらしているようです。

「低炭水化物ダイエット」に類似したダイエット法は、「パレオダイエット」と「ダッシュダイエット」という二つの手法です。

「パレオダイエット」は、「狩猟採集社会食事法」や「穴居人ダイエット」とも呼ばれています。これは旧石器時代人のような野草・野生動物を中心とした食事を真似た、「旧石器時代食」或いは「原始人食」と呼ばれる食べ物を摂取するものなのです。

農耕技術を手に入れて安定的な穀物生産が可能になった人類の食べ物は、炭水化物の豊富な米・小麦・トウモロコシなどの穀物中心の食生活になってきました。その時代以前の原始人は、日常的に手に入れ易い比較的炭水化物の少ない魚介類・鳥類・小動物などが食事の中心だったのです。

この「原始人食」を真似てこのダイエット法では、穀物・豆類・乳製品・芋類・食塩・砂糖・加工油はなるべく摂らないようにして、魚介類・鳥類・小動物・昆虫・卵・野菜・キノコなどの菌類・根菜・ナッツ類などを食べるようにします。

この手法は、消化器病学専門医ウォルター・L・ヴォーグトリンによって紹介され、1970年代中頃に初めて流行しました。そして、多くの研究者などによって薦められているのです。

「ダッシュダイエット」は、アメリカの国立心肺血液研究所が、高血圧予防と治療のために推奨した食事療法です。このダイエット法には特別のレシピは無く、特別の食材も必要とはしません。

この手法では、1日に必要なカロリー数に合わせて、食べ物のグループ毎に単位数を決めて摂取します。食べ物のグループは、穀類・野菜と果物(野菜系)・低脂肪乳と低脂肪の乳製品(低脂肪乳系)・赤身の肉や鶏肉や魚(肉魚系)・ナッツや種や豆(豆系)・脂肪・お菓子や砂糖(砂糖系)となります。

1日2千キロカロリー摂取する場合の配分は、穀類7~8単位・野菜系4~5単位・低脂肪乳系2~3単位・肉魚系2単位以下・豆系0.7単位・脂肪2~3単位・砂糖系0.7単位となります。そして、穀類は「全粒穀物(玄米など)」、野菜系は塩気を抜き、脂肪は「飽和脂肪」を減らすなど、いくつかの留意すべき点もあります。

「低炭水化物食」に同等な減量できる「地中海食」というものもアル!

世の中にはダイエットを目指している訳ではないのに、自然とその効果を表す食事もあります。その食事とは、イタリア料理・スペイン料理・ギリシア料理などの、地中海沿岸諸国で食べられている伝統料理で、無形文化遺産に登録されている「地中海食」というものです。

体重変化について、「地中海食」を「低炭水化物食」や「低脂肪食」とで比較した事例があります。結果は「低脂肪食」よりも減量でき、「低炭水化物食」とは同等な減量ができることが確認されたといいます。

「地中海食」の内容は、オリーブオイル・全粒穀物・野菜・果物・豆・ナッツ・チーズ・ヨーグルトが多く、魚は普通、肉・鳥・卵・菓子は控えめというものです。オリーブオイルや魚介類にはDHAやEPAが含まれる「多価不飽和脂肪酸」が豊富で、赤ワインを適度に飲むことも健康に結びついているようです。

「地中海食」は1975年にアメリカで、生物学者アンセル・キーズとその妻で化学者のマーガレットによって公表されました。一般的には、1990年代中頃にハーバード公衆衛生大学院のウォルター・ウィレットによって提示されて普及したのです。

「低炭水化物ダイエット」の効果を体験したという話の数々

実際に「低炭水化物ダイエット」を試してみて、その効果を体験した例はたくさん紹介されています。ある口コミのサイトの集計では、「低炭水化物ダイエット」の成功率は8割ほどとなっていました。

そのいくつかの成功例は、人によってかやっている内容によってか、以下のようにまちまちな結果となっています。

やったこと 期間 減量
糖質制限+運動+プロテイン 3ヶ月 10キロ
詳細不明 40日 6キロ
日に2食の主食抜き+ウォーキング1日2時間 3ヶ月 6キロ
糖質20g/日 8ヶ月 30キロ
1ヶ月炭水化物抜き 1ヶ月半 7キロ
ご飯抜き+毎朝酵素摂取 5日 6キロ

「低炭水化物ダイエット」の悪影響を体験した事例もアル!

「低炭水化物ダイエット」には、大半の成功例とは別に、様々な悪影響を体験例もあります。

例えば、次のような悪影響が出た口コミがあるのです。

  • 筋肉が減りリバウンド
  • 喉の異常に乾き
  • 摂食障害になったことも
  • 暗記力が落ちて勉強できない
  • 自律神経失調症

一般的にも「低炭水化物ダイエット」には、ダイエット目的以外の悪影響として、腎疾患者における腎臓障害の可能性・尿素回路異常症・高脂血症・脂肪肝があるとされています。また、便秘・頭痛・口臭・筋痙攣・下痢・脱力感・発疹などが頻繁に見られるという報告もあるのです。

そして、「アトキンソンダイエット」では、次のような点に注意しなければならないとも言われています。

  • 初期の2~3キロの減量は体脂肪の減少ではない。
  • 高タンパク質の食事は危険性を考慮すべき!
  • 食事を元に戻す時は徐々に行なわなければならない!
  • ケトン体で内臓を傷めないように大量の水分摂取が必要。
  • 体臭や口臭がケトン体独特の臭いになる。

「低炭水化物ダイエット」で悪影響が出ないよう対策をしよう

「低炭水化物ダイエット」は案外簡単にできそうなダイエット法ですが、これによる悪影響も出てきますので、その対策として考慮しなければならないポイントがあるのです。

そのポイントは7つあり、次のような対策になります。

  • 炭水化物調整の4ステージ
  • 専用レシピ
  • メニュー作り
  • 危険性を知る
  • 食べる順番
  • 運動の併用
  • リラックス

「炭水化物調整の4ステージ」とは、いきなり食事の内容をダイエットのために変えるのではなく、4ステージに分けて行なうアトキンス医師が考案したものです。ステージ1では炭水化物の量を日20gにし、2週間ほどで身体が慣れてくるので、炭水化物の量を増やしていくというものです。

但し、炭水化物はご飯ではなく野菜や果物から摂るようにし、ステージ2から前体重維持段階となるステージ3へと進み、体重を安定させていきます。そして、最終段階のステージ4では、野菜と魚を中心とした食事で、太りにくい身体にしていくのです。

「専用レシピ」とは、「低炭水化物ダイエット」で炭水化物を制限するために、代用品を使って作るレシピのことです。ご飯(米)の代わりは豆腐、餃子の皮なら薄切りした大根、うどん・ラーメンなら春雨などといった具合ですが、無理のないバランスの取れた食事をすることが第一です。

「メニュー作り」では、米やうどん・ラーメンなどといった食材ではなく、砂糖・油などの肥満の原因となる糖質の使用制限の工夫がポイントということです。砂糖であれば”ダイエットシュガー”がありますし、油はオリーブオイルが適当です。

また、朝食であれば果物やヨーグルトで済ましたり、外食でも炭水化物を控えるようにし、カロリーの高くなりやすい夕食では、しっかりと主食のご飯などを代用品のレシピにするというのも大事な事です。

「危険性を知る」とは、身体の仕組みを理解して無理なダイエットをしないということです。炭水化物はタンパク質・脂質と並ぶ重要な栄養素ですので、様々な悪影響が出ない程度に程ほどのダイエットにするということなのです。

「食べる順番」は、食事の量を調整するにはとても重要です。炭水化物の多い主食は後回しにして、はじめに野菜などの低炭水化物の食べ物でお腹を満たしてしまおうというものです。

「運動の併用」については説明するまでもなく、食事制限だけではダイエットを成功しづらいので、合わせて運動も取り入れるということです。そして「リラックス」とは、身体以外に心にも負担の大きいダイエットを、ハーブティーやアロマキャンドルで癒して、良い方向へと導くことになるのです。

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