酵素ダイエットでは効果なし!摂取しても体内では全く作用しない真実
酵素ダイエットは、酵素を多く含む食品を多く摂るだけで痩せやすくなるということで、非常に人気があります。その一方で、まったく効果なし!という声も多くあります。
そもそも、酵素ダイエットは専門家から医学的根拠の曖昧さが指摘されています。酵素は健康のためになくてはならない成分ではありますが、ダイエット効果には疑問があります。酵素の本当の役割を見てみましょう。
そもそも酵素は体内でどんな役割を果たしているのか?
酵素は、体内の様々な成分を取り込んで化学変化を起こし、生命を維持するために必要な働きを手助けしています。たとえば、消化はに関わる酵素は、デンプンを分解する酵素とタンパク質を分解する酵素、脂肪を分解する酵素の大きく分けて3種類があります。
その中でもさらに消化する栄養によって細かく種類がわかれます。たとえば、デンプンを脳の栄養源になるブドウ糖に分解するには、アミラーゼという酵素が必要になります。タンパク質をアミノ酸に分解するのはプロテアーゼの担当です。脂肪を脂肪酸とグリセロールに分解するには、リパーゼという酵素が必要になります。
酵素の主要成分はタンパク質です。加熱すると変質し、効力を失います。
酵素は一つの栄養素を分解するために、それぞれ担当がきまっています。そのため、酵素は非常に種類が多く、ざっと5,000種類はあるといわれています。酵素は消化のほかにも栄養の吸収、不要な物質の排泄、免疫、代謝など、生命活動の維持に欠かせない役割をになっているのです。
酵素を体外から大量に取り込むとダイエットできるのは本当?
酵素ダイエットの仕組みは、以下のように説明されています。
- 人の体に存在する酵素は有限であり、歳とともに減少する。
- 加齢によって酵素が減ると、体力や代謝が弱まり、肥満や肌荒れをおこしやすくなる。
- 酵素はタンパク質同様、熱に弱いので生の果物や野菜、サプリメントで補うのが効果的である。
- 様々な種類の酵素を凝縮したサプリメントやダイエット食品を摂れば、手軽に酵素を補うことができる。
要は、酵素はできるだけ大量に食べ物から摂ればやせやすくなる、という考え方です。
酵素ダイエットの根拠の酵素栄養学は信用できるのか?
酵素の働きが一般に広く知られるようになったのは、アメリカの医学博士、エドワード・ハウエルが酵素栄養学の著書を出版したことに始まります。この著書の中で博士は、酵素が健康に欠かせない重要な栄養素の一つとし、高温で壊れやすい酵素は生の食物から摂ることを推奨しています。
博士は酵素を「潜在酵素」と「食物酵素」の2種類に分けています。
潜在酵素は有限であり、使いすぎると量が減って病気の元になるので、酵素を多く含む食品を摂ることを推奨しています。潜在酵素の消費を抑えれば健康を維持できると主張しているのです。酵素ダイエット食品の理論は、博士のこの考え方が元になっていると思われます。
しかし、この理論は、ほかの研究者から多くの非難をあびていることも事実です。
まず、博士の著書は、ほとんどが20世紀前半の古い論文を引用したものであり、現代には通用しないという指摘があります。
また、酵素は外から取り入れても、胃酸で変性してしまうので、その効果は疑問視されています。
普段の食生活で酵素は充分に補える!必要以上の摂取は無意味
また、極端な食事制限でもしない限り、酵素は体内で作り出すことができます。
足りているところに、無理に外から酵素を取り入れても、効果が期待できるかは疑問です。
加熱すると壊れてしまう栄養があるのは確かですが、、衛生管理のことを考えると、生の食品ばかり食べるのも合理的とはいえません。
健康被害の相談が多いダイエット食品。購入はよく考えてから
国民消費者センターには、様々なトラブルや相談がよせられますが、ダイエット食品も例外ではありません。まったく効果のない商品を高額で売りつけられた、という例は枚挙にいとまがありません。
酵素ダイエットにかんしても、同様の相談が多くよせられているそうです。健康食品を扱っている業社にアンケートをとったところ、インターネットや雑誌、新聞で情報収集しているケースが多く、きちんとした検証を行っていませんでした。
また、販売を担当する従業員に対する教育も積極的に行っている業社は少なく、効果や安全性に疑問があることがわかります。
酵素ダイエット食品に関わらず、健康食品を購入する際は栄養に関する知識をもった人に相談してから購入するほうが得策です。体調によっては、健康を害する可能性もあるので、とりすぎにはくれぐれも注意してください。