吐きグセで痩せるのは危険!絶対におすすめできないダイエット
今回は絶対に止めてほしい痩せ方「吐く」ダイエットについて紹介します。
そもそも無理やり「吐く」という行為は健康と精神衛生上良くないので「ダイエット」と言うべきではないかもしれません。
なんとなく聞いたことがある、興味があるという人は是非読んでみて下さい。
吐いて痩せるは本当?その効果とは
そもそもこの吐きグセがついてしまうのは10代から20代の若い女性に多い傾向にあります。
特に若い頃は自分の体型を周りの友達や芸能人・モデルと比べて「細くないと綺麗じゃない」「あんな風になりたい」という劣等感や憧れから、軽い気持ちで始めてしまう人が多いようです。
吐きグセは、こうした心の病気に起因することが多いそうです。
吐く→痩せるのメカニズム
吐いて痩せるというのは本当です。理由は吐くことで「消費カロリー>摂取カロリー」になるので、消費カロリーが多ければ間違いなく痩せていきます。
日々のカロリーは「身体の基礎代謝」に使われます。基礎代謝は、体温調整や内臓を動かすといった私たちの生命維持に必要最低限なエネルギーのことです。
なので運動などをしていなくても毎日カロリーは消費されています。ちなみに10代後半から20代の女性ですと、一日の基礎代謝量は1270~1180kcalです。
つまり、物を食べても消化される前に吐き出してしまえば、エネルギーとして蓄積されず、どんどん痩せていくことになります。
どのくらいで効果が出るの?
痩せるまでには個人差があります。一日三食食べていて一食分だけ吐く、という人はなかなか痩せないでしょう。
しかし、吐くまでして本当に痩せたいと思っている人はだんだん食事自体摂らなくなるか、食べても罪悪感からすぐに吐いてしまいます。
なので結果的に体重が減り始めたらどんどん痩せていくでしょう。
クセになる危険性…
一旦痩せはじめると、痩せていくのが楽しくなり、また元の体重に戻るのが怖くなります。
一度「吐いて痩せる」ということを覚えてしまうと、クセになる可能性がとても高いのです。
しかし身体はと言うと、常に栄養が足りない「飢餓状態」に陥っています。なので「何か食べたい」という信号が常に送られるようになります。頭では「痩せたい」と思っていても、身体は「食べたい」という状態です。
先述したとおり吐きグセのある人は、精神的に弱っていることが多く、食べることでストレスを発散させようとすることがあります。
日中は普通に生活し、夜はストレス解消と体の反応でお腹がいっぱいになるまで食べて、その後は罪悪感で吐く、ということの繰り返しです。
また、吐くことがストレス発散となり、吐く為にたくさん食べるという人もいるようです。
こうなってくると自分一人の力で元の食生活に戻すのは難しくなってきます。
吐きグセのメリット・デメリット
吐きグセのメリットとデメリットを紹介したいと思います。
ですが、はっきり言ってメリットというメリットはありません。圧倒的にデメリットの方が多いからです。
吐きグセのメリットをしいて挙げるなら、好きなものを我慢せずに食べられる、ということでしょうか。
しかしその後吐き出してしまうのですから、せっかくの食事もお金ももったいないですよね…。
吐きグセのデメリットはこんなにあります
吐きグセのデメリットはこんなにあります。段階を追って見て行きましょう。
【①実際に吐いた時】
- 臭いが残る
- 涙や鼻水が出る
- 後処理
嘔吐した時にする独特のあの臭いは、胃液に含まれる塩酸の臭いです。酸っぱい臭いがしますが、乾燥すると臭わなくなります。
さらに吐瀉物を放置すると腐って腐敗臭になります。いずれにしても毎日トイレで嘔吐をしていると、臭いはなかなか取れなくなります。
後処理とはトイレに吐き出された吐瀉物や、口や歯に残ったものの処理です。
量が多いとトイレが詰まってしまうこともあるようです。また嘔吐すると同じように口臭が酸っぱくなります。うがいや歯磨きもしないと、胃酸で歯が溶けてしまいます。
【②吐いて痩せるを繰り返していると…】
- 過食と吐くことを止められなくなる
- 常に食べることを考えてしまう
- 思考力の低下
- 言葉が出てこない(脳の委縮)
- 食費が増える
吐いて痩せてを続けていて、目標体重になったとしても吐くことを止められない人がいます。
こうなってしまうと、摂食障害などの病気と考えた方がいいでしょう。
頭がぼーっとしたり、言葉が出てこないなど日常生活にも支障が出てきます。
【③さらに過食嘔吐を重ねると…】
- 憂鬱な気分が続く
- 嘔吐すると顔や首筋に赤い斑点(内出血)が出る
- 顔がむくむ
- 喉や食道が荒れる
- 肌が荒れる
- 歯や歯茎がボロボロになる
- 生理不順
何年も過食嘔吐を続けていると上記以外にも、胸や耳の痛み、めまいなどの心身の不調が顕著に表れてきます。
この状態で学校や仕事が出来ている人は相当無理をしているはずです。ですが、誰かにこの状況を話すことはなかなか難しいと思います。
吐きグセが治っても残る身体症状
ここまで読んでいただいて、吐きグセの怖さが少しわかっていただけたと思います。
ですが、吐きグセの怖さは治った後も続くことがあります。主に身体症状になりますが、元に戻らない・治せないものもあります。
【①脳の委縮】
現在の医学では脳の委縮は元に戻すことはできないと言われています。現状維持と萎縮の予防が課題になります。
【②歯の変形・虫歯、歯周病】
嘔吐を続けていると、歯のエナメル質が胃酸によって溶けてしまいます。エナメル質はいったん溶けてしまうと元には戻らず、嘔吐を続けた大半の人に虫歯が見られるそうです。
歯茎もダメージを受けると元に戻すのは難しいです。
【③妊娠】
女性は体重が減少するのにともない、必ず生理が止まります。生理不順が長く続くと将来妊娠できなくなる可能性があります。
吐くのがクセになってしまったら
吐きグセは自分一人の力で治すのは難しく、摂食障害という病気の可能性があります。
吐いて痩せるを繰り返していて、止められないという人は一度専門のカウンセラーや病院で相談してみましょう。(現在は摂食障害専門の病院もあります。)
治療は、カウンセリングとともに認知行動療法・薬物療法などで、食行動とそれにともなう身体面の改善や精神面の考え方の改善などを目標とします。
治療には時間がかかるかもしれませんが、自分に合うカウンセラーや医師を見つけ「治そう」という意思をしっかり持つことが大切です。
周囲の人に話すことは難しいかもしれませんが、自分の意志で治そうと思えたことはとても素晴らしいことです。
自分の身体を大切にしましょう
ここまで読んで、それでも吐いて痩せたい、という人は軽い気持ちでやってみようと思っていませんか?
軽い気持ちで始めた人も、心に悩みを抱えていて始めた人も、多くの人が摂食障害になり苦しんでいます。
心に悩みがある、ストレスを溜め込んでいるという人は、少し肩の力を抜いてみませんか?
うつ病などの心疾患にかかる人の特徴として、自己肯定感が低かったり、真面目で完璧主義なところがあります。
自省したり、周りに迷惑をかけないよう配慮できるのはとても素晴らしいことですが、自分を犠牲にしてまですることではありませんよ。
吐きグセは一度きりの自分の人生を壊してしまう可能性があります。
本当に綺麗に痩せるのであれば、食べて吐くということは絶対にやってはいけないことです。
既に吐きグセのある人は、一人で悩まず専門医に相談することが第一歩です。